教科書にも登場するくらい、日本人なら一度は目にする「国宝・鳥獣人物戯画」(以下鳥獣戯画)。動物たちをコミカルに描いたこの絵巻物は、今も多くの人から愛されています。
一般的に私たちの知っている鳥獣戯画は全体の一部で、本来は甲乙丙丁の全4巻の絵巻の総称。平安時代後期から鎌倉時代にかけて描かれたとされていますが、一体だれが何のために描いたものなのか、詳しいことは一切不明という謎多き絵巻なのです。
この鳥獣戯画を所蔵しているのが、京都市の山中にある栂尾山高山寺です。今から1300年程前の奈良時代に建てられた古刹ですが、もとは神護寺の別院でした。その後鎌倉時代に入ってから、後鳥羽上皇から勅命を受けた明恵上人(みょうえしょうにん)が高山寺として改めて開山、現在に至ります。
明恵上人は幼い頃に両親を亡くし、早くから仏門の世界に入りました。自身に厳しい修行を課していた人物でしたが、一方で自然をとても愛し、とくに動物を可愛がっていたそうです。鳥獣戯画がなぜ高山寺に伝わったのか不明ですが、実直で多くの人から慕われ、動物をこよなく愛していた明恵上人の元に、鳥獣戯画がやってきても不思議はないでしょう。
現在の高山寺で展示されている鳥獣戯画はレプリカで、本物は美術館などの企画展でしかお目にかかれません。その本物が見れる企画展が2024年「京都高山寺展」として、北海道立近代美術館で開催されます!しかも北海道で鳥獣戯画が展示されるのはこれが初!
会期は7/9~9/1までの約2か月間です。足を伸ばせる方は是非北海道へ! 北海道立近代美術館